こんにちは
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私達は東京都港区の北青山で設計事務所を開設しています。 付近には、いちょう並木や神宮外苑、東宮御所、青山霊園などがあり、都会にしては自然に恵まれた環境のなか、大きな木々を眺めたり、鳥のさえずりを聞きながら仕事をしています。 |
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事務所開設の経緯
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村上太一と村上春奈は、学生時代に建築視察旅行中のフィレンツェで知り合い、それぞれ建築家のアトリエ事務所や住宅メーカーなどで、住宅、商業施設、教会、学校、公共施設などの設計監理に携わったのち、結婚、独立して、東京都世田谷区の砧に「一級建築士事務所 村上建築設計室」を設立しました。 その後、東京都港区の北青山に移転し、住宅や集合住宅の新築やリノベーションをはじめ、事務所、商業施設などを手掛け、スタッフも参加して現在に至っています。 |
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この仕事をはじめた動機
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いろいろな物事をみていると、それぞれが無関係ではなく、波のように揺らぎながら何かしらの秩序や関連性を持ってつながっていると感じます。 人々や動物、植物たち、自然や物もつながっていて、喜びや悲しみ、怒りのエネルギーは水面の波紋のように周りに伝搬していくように思います。 もしある人が怒ったなら、周囲に怒りの雰囲気が伝搬して気が悪くなってしまうし、ある人が幸せな気分になったなら、その周りも幸せな雰囲気が満たされ、ある人が美しいものに触れたなら、その人のまわりも美しく変わるのではないか。 そして、その力が巡ってその人にも返ってくるのではないか。 そのようにして社会全体にいいエネルギーの循環がおきると、平和で、美しく、向上心の溢れる世の中が訪れるかもしれない。 お金儲けや効率最優先で造られる、人工素材や手間をかけていない建物が多い中、人々が人生の多くの時間を過ごす建物を心地よい場所にすることで「幸せが循環する社会」に貢献できるのではないか。 |
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設計で考えていること
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限られたコストのなか、時の経過とともに味わいが増す自然な素材をメインに、素材の組成による適切な組み合わせを考え、長期にわたっていい雰囲気が味わえる空間をつくりたいと思っています。 美しさやデザイン性だけでなく、耐久性や強度、メンテナンス性、温熱環境も考慮し、長期にわたって機能的で快適な空間を目指して設計したいと考えています。 土地の特性を良く検討し、最適な向きや光の入り方、視線の抜け方、風の流れ方を考え、たとえ骨組みだけになっても美しい無駄のない骨格を探っていきたいと思います。 人生の限られた時間を上質な空間で過ごしていただき、訪れた人々や近隣の方々にも愛される建物として素敵な街並にも繋がって欲しいと考えています。 |
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建物の空気感について
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いい素材を手間をかけて素敵につくりあげ、メンテナンスされてきた神社など建物には、とてもいい空気感が漂っていると思います。 しかし、最近の建材などに見られる人間の欲望を満たすために作られた人工素材は、比較的安価で施工しやすいですが、自然の摂理に合わず時を経るごとに見苦しくなる傾向にあります。 また、システムキッチンや既製家具などの既製品は施工が楽で品質も安定していますが、大抵はその土地や使う人の個性、その建物のデザインなどは考えずに作られた物です。 そのようなものだけで空間を構築すると様々なデザインや思い、素材、質感の物が混在してしまい、調和した空気感が生まれにくくなってしまうと共に、使う人のためより、売りやすさを目的としたものに生活を合わせなければいけないので、なんとなく違和感を感じるまま過ごさなければならなくなってしまわないでしょうか? ただ、すべてをいい素材で手間をかけて作れば、とてもいい物が出来ると思いますが、非常に高額になってしまいます。 |
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コストバランスと素材の相性
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すべてをいい素材で手間をかけて作れば、とてもいい物が出来ると思いますが、時間がかかり高額になってしまいます。 料理で考えると、お金をかけていい素材を使えば、それなりに豪華に見えると思いますが、手間の掛け方や組み合わせ次第では美味しくもまずくもなります。 また、毎日豪華な料理ばかり食べていると疲れてきてしまいます。 建築も同じように、高級品を記号のように組み合わせて豪華絢爛に見せているものを時々目にしますが、それでは落ち着きや風情のあるいい建物にはならないと思います。 使う人の特性や地域性、素材の組成や相性を考慮しながら的確な組み合わせ方を探り、既製品を利用しながらも、肝心な場所は腕のたしかな職人さん手間をかけて作ってもらい、日々使い続けても飽きがこないよう空間をつくることで、無闇にコストを掛けなくても味わい深い魅力ある空間が生まれてくると考えています。 |
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自然と建築
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建物は、時に恐ろしく厳しい自然などの災害や悪人から身を守るシェルターでなければいけません。 また同時に、日頃の疲れから心身共に開放し、癒される場所でもなければいけません。 そのためには、防御して自然や人を排除するばかりではなく、外にも開いて自然の良さをうまく取り込んでいく必要があります。 最近、自然の厳しさが増してきているように思いますので、閉じる場所と開放する場所を吟味し、性能を高める必要があると考えています。 私達は「月 火 水 木 金 土 日」 を意識しながら設計しています。 月 月や星、流れる雲、広がる大空が生活動線で見えるか。 火 コンロや照明で人の営みを支えた炎の雰囲気が感じられるか。 水 お風呂のお湯や水面の美しい揺らぎが感じられるか。 木 新緑や木漏れ日、紅葉など季節の移ろいが感じられるか。 金 金属やヴィーナスの美しさがあるか 気の流れが淀んでいないか。 土 土は生命の源 土から生まれ土に還る大地の循環に身を置けるか。 日 夏の日差しを遮り、冬の日を招き入れる構造になっているか。 建物を骨格から考え、自然の優れた部分を積極的に取り込み、全体から細胞に至るまで生物のように違和感なく成立した建物をつくっていきたいと考えています。 |