直滑降でスピードを出して滑ることは誰にでも出来ます。
でも、スキーは如何に曲り、如何にスピードコントロールをするかが大切です。
スキーは少し特殊な操作方法で動く乗り物です。
いきなりゲレンデに出て混乱してスキーが嫌いになってしまうといけませんので、
まずはスキーの基本的な動き方を理解して、あとは滑ってみましょう。
自転車と同じように何度も滑ることで、自然と体が慣れてきます。
自然と一体となって滑る素晴らしさを味わってください。
スキー用品
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スキーの道具について | 板やブーツ、ストックについて |
スキーウエアについて | ジャケットやパンツなど |
スキーの準備
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ブーツを履く | 自分に合ったブーツをしっかり履くことが大切です |
板を履く | あせらずに雪を落としてから履きましょう |
準備運動をする | 初心者に限らず誰でもしっかりやりましょう |
スキーの操作方法
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板に乗る | 膝に余裕を持たせて真上にしっかり乗りましょう |
曲がり方 | 踏む 角付けする ずらす ジャンプする |
止まり方 | 確実に止まれるようにしましょう |
滑ってみる
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平地の滑り方 | 自分の板を踏まないようにグルグル歩き回りましょう |
斜面の滑り方 | 板を「ハ」の字にしてプルークボーゲンから |
スキー用品について
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基本的な道具は、スキー板、スキーブーツ、ストックの3点で構成されます。
スキー板は2本の板でできていますが、そこにブーツをスキー板を固定するビンディングというものがつきます。 競技用や上級者用の板はうまく乗らないと能力を発揮しないので、中級者用くらいのものでまずは基本的な動きをマスターするのがいいと思います。 ブーツは通常、固い樹脂でできていて、中に柔らかいインナーが入っています。ブーツが自分に合わないとまともに滑れません。自分の足に合ったものを選ぶのが大切です。 ストックは2本の杖で、左右の手に持ちます。軽くて振りやすいバランスのものがいいですが、それほど滑りに影響するものではありません。 |
主な物は、ジャケット、パンツ、インナー、グローブ、ゴーグル、帽子です。
ジャケットとパンツは、丈夫で耐水性のあるものがいいです。ゴアテックスだと特にいいと思います。ジャケットは首までしっかりあること(首が切れて死なないように)。パンツは丈夫で雪返しがあるスキー用のものを買いましょう。 インナーはフリースなど、ある程度運動に適していて、暖かくて軽く、汗をかいても不快にならなければいいので、普段着でいいと思います。ユニクロのヒートテックは薄くても暖かいので重宝します。 ゴーグルは目を保護するものです。スキー場は非常に紫外線が強いすし、雪が降ると目に入って見え辛くなるので、必ずゴーグルなどで保護しましょう。顔に合っておしゃれなものがいいと思いますが、ダブルレンズなどの曇りにくいものがいいと思います。 グローブは手袋ですが、丈夫で暖かく、耐水性があり、ストックが握りやすいスキー専用のものがいいです。刷れやすい場所の1つなので、これもゴアテックスだと好ましいです。 帽子は丈夫で暖かく、風に飛ばないものであれば何でもいいと思います。 |
準 備
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最近のブーツやビンディング(スキーとブーツを固定する金具)は良くできていて、ねん挫や骨折することはほとんどなくなってきました。
しかし、自分に合ったサイズのブーツを正しく履かないと、うまく滑れなかったり怪我につながることがあるので、正しいサイズのブーツを正しく履くことが重要です。 履くときは、まずバックル(靴ひものような金具)を全部外して、シェル(ブーツの殻)とインナー(ブーツの中身)を左右に広げ、足を思いっきり突っ込みます。 その際、ブーツは冷えているより暖かい方が柔らかいので、暖かい環境の方が足が入りやすく楽に履けます。 そして、インナーを整え、バックルをはめます。 それから屈伸でもして再度バックルを止めると、よりしっかりします。 ブーツ内で足が動くとうまく曲がれなくなるので、バックルはしっかり締めましょう。 最後にブーツの上からスキーパンツの内側の雪返しを被せて、裾を整えて出来上がり。 |
ブーツが履けたら、板やストックを持ってゲレンデに出て、次にスキーを履きます。
板の間ん中あたりについているビンディングという器具の後ろの突起が下がっていることを確認して、前側にブーツのつま先を入れ、次にかかとを入れて上から踏みつけます。 するとバチッといって板とブーツがくっつきます。 その際、ブーツの裏に雪がくっついていたり、ビンディングに雪が詰まっているとうまくはまりませんので、雪を落としてから履きましょう。 脱ぐときは、かかとの後ろの突起をストックや手で押さえながらかかとを上げて外し、脱いだ足のかかとで反対側のビンディングの後ろを踏んで外します。 |
ちょっと滑りなれた初級者や中級者に、あまり準備運動をしない人を見かけますが、怪我につながりやすいだけでなく、スキーの操作にも支障をきたすので、これは誰でもしっかりやる必要があります。
身体を傷めてはスキーが出来ないばかりか、日常生活にも支障をきたしてしまいます。 脚だけでなく股関節、腰、肩、腕、背中、手、指、首、、、しっかり回したり伸ばしたりして準備運動をしましょう。 ゲレンデの寒いところでいきなりストレッチをすると体に悪いので、ゲレンデに出る前の暖かい環境で一度準備運動をして、それから板を履いてストレッチをするといいと思います。 |
基本的なスキーの操作
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板にちゃんと乗っていないと、うまくスキーを操作することが出来ません。
板を踏んだり、角付けしたり(傾けたり)、ずらしたり出来ないので、正しい位置に乗るように心掛けましょう。 ○板と身体 基本的には足裏の土踏まず寄り全体に体重を載せる感じで、斜面(板)と身体が垂直になるように乗ります。 斜面に角度があれば(普通角度があるものですが)、そのぶん身体は谷側(下側)に向かって前に傾きます。 怖いからといって前に倒れず、うしろに逃げる(後傾になる)と、正しいポジションから外れてしまい、板を制御できず暴走してもっと怖いことになります。 身体のポジションの確認は、緩い斜面を直滑降して真上にジャンプしてみて、前後が同時に着地したところが最適です。 ジャンプして着地した時にスキーのトップ(前)が上がっていれば(板のうしろが先に着地したら)後傾、テール(後)が上がっていれば(板の先端が先に着地したら)前傾です。 「スネが痛くなる程ブーツを押して前傾姿勢をとるように」という人もいますが、あまり前傾がキツいと踵が浮き気味になりターンし辛いし、コブや深雪に当ったら前につんのめってしまうので、板は真上から素直に踏めばいいと思います。
脚の曲げ伸ばしが十分にできるように、腰はしっかり落としましょう。 緩斜面の場合は椅子に座るのと立つのの中間くらい。中斜面で椅子に座るくらいがいいと思います。 ただし、お尻が踵よりうしろに出てしまう(へっぴり腰)と後傾になり、力がうまく伝わらないし、体制を維持するために踏ん張って疲れてしまうので、空気椅子ではなく軽くしゃがむ感じで板の真上に乗るといいと思います。
膝は適度に曲げて柔軟に保ちましょう。 曲げずに突っ立ったまま乗ると、板が踏めないし、振動も吸収できないので、膝をちゃんと曲げて脚の動きに余裕を持たせましょう。 電車でつり革や手摺などに掴まらずに立って乗ると、脚を曲げて柔軟にした方がバランスが取りやすいのがよくわかると思います。
腕の構えは、自分の身長の半分程のボールを胸の前に抱えるような感じがいいと思います。 脇を閉めて肘から先を開くオカマみたいな人や、腕を両側に伸ばしたカカシみたいな人がいますが、そうならないように注意しましょう。 上手そうに見せる基礎スキーでは、肘を高く保って強そうにするようです。 |
曲がる |
スキーは自分の曲りたい方向と反対の板(外脚)に体重をかけたり、板を傾けて角付けしたり、板をずらして雪の抵抗を受けることで曲る、ややこしい乗り物です。 右に曲りたければ左足に、左に曲りたければ右足にちゃんと乗る。 最初は混乱して絶望感におそわれますが、自転車と同じようにそのうち慣れます。 逆側のスキー(右に曲りたい時に右足)に乗っても曲がれますが、より重心を板より内側に外すことになり、慣れないとかなり難しいので、通常は「内足に乗って転ぶ(内足転倒)」という結果に終わります。 ターン中は常に外脚(ターンの円弧の外側の脚)に多めに体重が載っているように心掛けましょう。
まず、板をずらすためには板を雪面に対してフラットにします。 すると引っかかりがなくなるので、板がフラフラと動きやすくなります。 フラフラした状態の板を外側にずらすと摩擦が生じたり、板の外側に雪が溜まり、その雪の抵抗を受けて制動がかかります。 そして、抵抗を受けていない方へ板が向かおうとします。 なので、曲りたい方向と逆の方の板をずらして抵抗を作ることで、曲りたい方向へと曲っていきます。 両方の板とも左右に同じようにずらすと、制動がかかったまま自由落下する方向へ板が向きます。(プルークボーゲン) ずらしてターンする場合、雪面の抵抗により曲がり方が変わるので、ずらし加減を調整すると、方向が変えやすくなります。 このターンは、曲る時に雪の抵抗を受けてスピードが落ちてしまうため、あまり競技向きではありませんが、アイスバーン等でエッジが立たず板が横に滑る場合や、コブ斜面などで曲がり方を調整する時、急斜面をショートターンで滑る時など、奥行のある滑りをするのに適した滑り方だと思います。 また、基礎スキー向きですが、わざと板を大きく左右に振って上手そうに見せるのにも有効のようです。
真っ直ぐの棒でも、押してたわませれば湾曲しR状になります。 そのR状になった部分が雪面に接すると、当然R状に接することになり、その弧に沿って進むと曲っていきます。 スキーの板も押す(体重をかける)とたわみ、曲りやすくなります。 板は通常たわませ易いように中央部が浮いているので、しっかり板を踏んでたわませられるようにしましょう。 スピードが出てくると遠心力や雪からの圧を受けるので、その力を上手く利用すると無理に踏まなくても楽にターンが出来るようになります。
最近の主流の曲がり方です。 スキー板の側面は真っ直ぐではなく、曲りやすいようあらかじめR状にカットされています。 その板を傾けることでR状の部分が雪面に接するので、その弧に沿って自然と曲がっていきます。 カービングスキーはこのR状の部分が強調されているので、無理に踏まずに板を傾けるだけで簡単に曲ってくれます。 板を傾ける方法にはいろいろあると思いますが、基本的には腰や肩のラインを斜面と平行に保ち、腰から下の脚をターンの内側に倒して板を傾けます。 ただ、カービングスキーになってからは、体全体を積極的に内側に倒して滑る滑り方もアリになってきました。 頭を中心とした振り子のような形に近いので、無理に脚を倒すこともなく、効率的に力が板に伝わるのですが、遠心力とのバランスをうまくとらないと、より重心が内側に外れ、内脚のスキーに乗りやすくなるので、バランスには注意しましょう。 板の傾きをよりキツくすると、その分ターン弧が深くなり、よく曲るようになるのですが、そのためには積極的に体を内側に倒し、ターン弧の内側の膝を曲げ、股関節を引くように折って、外側の足を伸ばし気味に回ると深く楽にターンできると思います。 その際、左右のブーツの前後差は以前の滑り方に比べて揃ってきます。 ターンしたあとは谷側に向けて上半身を投げ出すようにすると、体につられて板が足下に返ってきやすくなります。 カービングターンになっているかどうかは、自分の滑ったあとが電車のレールのように細い2本線になっているかを見てみてください。板がずれている場合は、滑ったあとがグズグズの太い線になっています。
ジャンプしながら空中で板の向きを変えて、着地して曲がることもあります。 雪に脚をとられてどうにもならない時や、コブでバランスを崩してそのまま進み辛くなった時など、とりあえず飛んでみる! 結構有効です。 ジャンプターンをするには、ちゃんと踏込んでからジャンプをします。(しゃがまないとジャンプ出来ませんよね?) そして、着地した時にバランスを崩さないように、しっかりしたポジションに乗っていることが大切です。(後傾でジャンプするとうしろにひっくり返るし、前傾だと前につんのめります。)
雪面や滑りに合わせてそれぞれの割合いを変えることで、性格の違った滑りができるようになると思います。 また、脚だけで回ろうとするのではなく、腰や体を使ってスキーを回していくイメージでいくと、骨格を使ったしっかりした滑りに繋がっていくと思います。 いろいろな滑り方を練習して応用力のある滑りを身につけましょう。 |
いくら上手く滑れても、スキーが止まらないと大変!
しっかり止まれるようにしましょう。 曲がる動きと止まる(減速する)動きは、とても関係が深いのです。
曲がりながらずーっと進んでいくと、そのうちスキーが山を登りはじめて、減速し、止まります。 斜面で直滑降をすると猛烈にスピードが出てしまいますが、深く曲がることでスキーのスピードは抑えられます。 これを完全に止まらないうちに左右繰り返すと、スピードを制御しながら連続してターンが出来ます。
板をずらすと雪の抵抗を受けて、減速して止まります。 板の先端を近付け、うしろを開いて「ハ」の字のようにしてもいいし、板を落下方向と垂直に「ニ」の字のようにしてもいいです。 速度の微調整には「ハ」の字。急ブレーキをしたい時は「ニ」の字がお勧め。
転べば体が雪の摩擦を受けて止まります。 どうしようもない時は、早めに転んだ方がいいですが、雪が体に入ったり、起き上がったりとかなり体力を消耗しますので、これを常套手段にするのはやめましょう。 また、どこかにぶつかっても止まりますが、大抵いい結果にはならないので、そうなる前にどうにかしましょう。 |
滑ってみる
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まずブーツに板をつけて平地を歩いてみましょう。
足に長い板がついているのは慣れないと思いますが、自分の板を踏まないようにしてグルグル歩き回ります。 普通は曲がりたい方向と反対側の足を先に出して曲がろうとするので、自分の板を踏んでしまうのではないでしょうか? 少しがに股にして、曲がりたい方向の板の前側を先に開くと、回りやすくなると思います。
滑る板に乗るにはバランス感覚が重要です。 足を肩幅程度に開いて、体の前後のバランスに注意し、左右に重心が外れないよう板の内側に体重がかかるよう意識しましょう。
なかなか日常生活にはない動作なので難しいと思いますが、スキーの基本的な動作になります。 先端の位置は変えないで、板のうしろを開いて閉じて、開いて閉じて。 脚も当然開いて閉じてとなります。
ストックで漕がず、平地でスケートのように滑れると、内側のエッジの使い方の練習にもなります。 やりかたは、例えば右足の板を少しうしろに下げて先端を外側に開き、右足内側のエッジを立てて、押し出しながら左足に乗って進みます。 次に右足の板を右前に出しながら左足内側のエッジで押し出して右足に乗る。 これの連続です。 |
ある程度慣れたら緩斜面に行きましょう。
板の先端の間隔は拳1〜2つ分くらい開けて、その間隔は変えずに板のテールを広げたり、板の内側のエッジを立てて角付けしたりして減速します。 脚は内股気味で、膝でスキーの先端を押すような感じにすると、左右の板が開いて股さけになってしまうことも減ると思います。 一方の板を踏み込んだり、テール部分を押し出したり角付けをしたりすると、その反対側の板の方へ曲がるし、両方のテールを押し出すと減速して止まります。 滑る板に乗るのはなかなか難しく、最初は何度も転ぶと思いますが、転び方や起き上がり方もついでに練習してください。 ちなみに、転ぶ時はなるべくお尻から転んで、立ち上がる時は両方の板(足)を体の谷側に持って行き、板を斜面の落下方向に対して垂直にしてから立ち上がりましょう。 板が外れてしまった場合は、板を滑らないように置いて、しっかり立ち上がってから落ち着いてビンディングをはめてください。 また、初心者に後傾の人をよく見かけますが、怖がらずにしっかり前傾姿勢をとって、腰もしっかり落として滑りましょう。(へっぴり腰ではなく) ちなみに、プルークボーゲンは初心者用の滑り方ではなく、上級者でもなかなか上手く滑れない奥の深い滑りなので、初心者に限らず、上手く滑れない時はプルークボーゲンで速度とずれ幅を一定に保ってみたり、ずれがないようにカービングで曲がってみたりするといいと思います。
慣れてくるとだんだんスピードも出せるようになり、「ハ」の字の「ボーゲン」から、ターン時以外は板を平行にする「シュテム」になり、より抵抗の少ない「II」の字(パラレル)へと自然となってきます。 その時の板の間隔は肩幅くらいの自分が楽に滑れる間隔で。 脚をピッタリ閉じれば上手なんてことはありません。(昔はそう思われていましたが) シュテムからパラレルになかなか移行できない人は、たいてい無理矢理回っているので、ターンの途中に直滑降を入れるイメージで自然なターン弧を作るように意識するといいと思います。 といろいろ書きましたが、まずはスキースクールに入って基本的な滑り方を教えてもらうことをお勧めします。 |