House 住宅について
シックハウス症候群

シックハウス症候群という問題が大きく取り上げられるようになってきました。
新築や改築などで使われた建材などから出る有害物質が原因で起こるのではないかと言われている健康障害ですが、症状も様々であり、まだ原因の全てが解明されもいません。
しかし、これは最近出て来た問題ではなく、以前からあった問題であり、何が悪いのかわからないままアレルギー体質で済まされていた方も多いと思いますが、今ではこの問題が広く認識されるようになり、我々の設計事務所に相談に来られる方もいらっしゃいます。

私も以前新築のプレハブマンションを借りる機会がありましたが、常に換気をしているにもかかわらず頭が痛くなったり、目や咽などの粘膜が乾いたようにヒリヒリしたりして、半年くらいは部屋に居たくなくなるようなひどい状態が続きました。
ひどい人になると体中が湿疹になったり喘息になるなど、普通に生活が送れなくなってしまうようです。

最近では建材に建築物衛生関係法令上の基準値が定められるようになり、有害物質を多量に含む建材はあまり売れなくなったため、建材業者が作らなくなり、シックハウス対策がだんだん進むようになってきました。
しかし、法律が適応されない家具や備品類、輸入建材などからの有害物質の発散や、対策が施されている建材でも化学物質を感じるものもありますし、いまだシックハウスに対する配慮が乏しい施工業者や設計事務所も多いので注意が必要です。

本来新築というものは木や畳のいい香りがしたり、左官材や土の臭いがしたりと悪いものではなかったはずですが、なぜこの様になってしまったのでしょう?
いろいろな要素があるのでしょうが、原因の大きなものに人の欲が自然に手に入るものの範囲を超え、安価で人々の欲を叶えられる建材を無理矢理作ったためであると思います。
ホルムアルデヒドやトルエンなどの有害物質の基準値が定められても、その全てをカバーしているわけではないし、人の欲を叶える人工素材や薬剤を作って利益を上げようという姿勢は変わっていないので、シックハウス症候群は減ったとしても心から安らぐ空間はそう簡単には得られないのではないでしょうか。

041117

一戸建て住宅

自分の土地に自由な間取りで自分達の生活に合った家をつくることができる。
猫や犬と暮らすことも自由だし、庭で好きな植物や野菜なども育てられ造築や改築も自分達の都合でできる。
やはり一戸建ては家の基本だと思います。
しかし、そのメリットが活かされていないままに建てられている住宅も多いのではないでしょうか?

広い土地を売りやすく細かくした分譲地に、無難な建物を建てましたというような物件をよく目にしますが、ほとんど庭も取れず、間取りも個性のない物ばかりで、使われている建材も新素材や既製品ばかり。
これでは、所有欲は満たされるかもしれませんが、建物に魅力を感じられないし、一戸建てであるメリットもあまり感じないのではないでしょうか?
環境的に見ても、本来庭や畑であったところは建物と駐車場などで埋め尽くされ、大きな木や緑地、大地が無くなっていたりして、あまりいいとも思えません。

もし一戸建てを建てるなら、ある程度敷地に余裕が出るように家を建てて庭も楽しむとか、狭いけれどいろいろ工夫して魅力ある建物にするとか、大きな木や自然な大地を残すとか、暖炉やピザ釜、工作室や露天風呂などマンションではなかなかできない趣味的なスペースをつくるなどしてメリットを活かした方が楽しいし愛着も涌くと思います。

敷地が余り広くとれない場合は、小さく住まう」の様に少し小さめの家を建てて暮らすと、物が増やせないという欠点はありますが、一戸建ての利点を生かしながらエコでコンパクトにも暮らせるのではないでしょうか。

070506

郊外のマンション

東京の郊外には住宅がひたすら密集して建っています。
つい数年前まで森だったところも、切り開いてマンションや分譲住宅を建ててしまいました。
もう自然な状態には戻らないでしょう。

郊外の森を切り開いたところに住みたくて住んでいるのならまだいいですが、便利な場所物件が買えず、予算的な問題で仕方なくそこに住んでいる人も多いのではないでしょうか?

いま都心に高層マンションがいくつも建てられていますが、これから大量に物件の供給がはじまり、人々が都心に流れはじめたらどうなるでしょうか?

住む人の減ったマンションの水の循環は悪くなり、換気されない部屋にはカビが生え、水を流さない排水口は封水が切れ・・・
管理費が集まらないため管理が疎かになり、住環境として良くない状態に陥り、売ろうにも売れず、建て替えようにも建替えられず、結局取り壊すお金もないため、そのまま放置されやしないでしょうか・・・

そうなってしまっては大変です。
住民は自分の住環境や財産を守るためにも、自分の街を魅力ある街にしていくべきではないでしょうか。
職場や繁華街から少し離れていても、魅力がある場所ならば住みたいと思う人がいるはずです。
そうなれば住む人が少なくて管理が疎かになることもないし、売りやすくも建て替えやすくもなると思います。

040412

超高層マンション

東京湾の埋立て地などには多くの超高層マンションが今も建設中です。
猫の額のような庭を持つ一戸建住宅が延々と大地に貼付くよりは、あるところは高密度化して職場と住居が近く、またあるところは緑が多く自然環境が豊かな住環境になることには賛成です。

住宅地のマンションをわざわざ超高層にして元々ある住環境の空を削り取るのはどうかと思いますが、本来住宅地ではないところなら、あまり迷惑もかからないのでしょう。
しかし、最近建てられている湾岸の超高層マンションの環境がちょっと・・・

景色がいいのはわかりますが、超高層の上の階は地面と離れ過ぎているし、埋立て地や工場地帯だったところに建っているものはそもそも人の住む場所ではなく、完全に行政や大手資本により区画された環境の中で生活しなくてはなりません。

そのような街には個人商店が進出する場がほとんどなく、今後も個性的な街並や文化の発展が望めないのではないかと心配してしまいます。

部屋の間取りや内装はみな売れ線を狙った同じような作りで、買物もみな同じ大型スーパー。
湾岸地域など海があるといっても近付けない海で、行動範囲の広い大人はまだいいですが、このような場所に育つ子供は豊かな人間になるのでしょうか?

もう少し人の住む環境を考え、高いところからの眺望ばかりではなく、足元の環境もしっかりつくっていくべきだと思います。

040412


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