Town planning 街並について
運河

江戸は河川や運河が沢山ある水の都だったと思うのですが、いま東京で水を身近に感じられるところはとても少ないですね。
治水のための護岸工事はある程度仕方がないにしても、生活排水などを流し生態系が崩れヘドロが溜ってしまったり、用地買収が楽だからと高速道路を通してしまったりして、心地のいいものとは言えなくなってしまい、せっかくの水辺なのに水に背を向けて建っている建物もとても多いです。

小樽は運河が残されていて観光資源にもなっているし雰囲気のいい街ですが、それでもだいぶ埋め立てられてしまったようです。

現在は東京の水質もだいぶ改善され、私の子供の頃に比べると臭いも少なくなり魚も多くなってきたようです。
しかし、今でも水辺なのにその環境の豊かさを無視して計画されたようなマンションやオフィスビルなどが建設されているのをよく見ますが、もったいなくないでしょうか?

月島の屋形船」では、月島にある普通の間取りのマンションをより水を感じられるように改装しましたが、水面に反射する光や風が家の中に入りこみ、運河を行きかう魚や水鳥、屋形船などが見られて、とても豊かな空間になりました。

暗渠になってしまったところや護岸を人工的に作り過ぎたところは、問題のない範囲で自然な状態に戻し、道路や建物はもっと水に開き、戦前の東京のように川遊びが身近にできるようにしたり、京都の川床やベネチアみたいになると、街がずっと豊かになるでと思います。

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舗装

森や林などの舗装されていないところを歩くと、滞積した落ち葉からはパチパチと音がしたり、腐葉土になった土からはふっくらと柔らかい感触がしたり、空気からはしっとりとした感じや土や落ち葉の香りがしたり、新しく芽を出す植物や餌を探しながら散歩をする野鳥などが見られたりして、なかなか心が落ち着くものです。

しかし、街を見るとあらゆるところが舗装されています。
人が歩いたり車が走ったりするところが舗装されるのはとても便利なことだと思うのですが、どこでも大地を塞いでしまうのはいいことなのでしょうか?

また土を汚いものとして扱う人がいますが、土って汚いものなのでしょうか?

全てが舗装されるとモグラが顔を出す場所がないのはもちろんのこと、雨は大地にしみ込まず下水道に流れ、地下水脈は枯れていきます。
樹木の落葉は土の栄養とならず、ゴミとして捨てられてしまいます。
地面に落ちた植物の花粉も土に浸透せず、また風に乗って公害物質と共に大気中を舞います。
熱を持った地面は気化熱で冷めることも少なく、夏の夜は増々暑くなります。

どこでも安易に舗装するのではなく、あるところは大地を露出し、またあるところは半舗装のような状態にして大地と上手く付き合い、時には手入れもしながら自然の良さを感じられるようにしないと、自分達が苦しくなってしまうのではないでしょうか。



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街路樹

道にはよく街路樹が植わっています。
東京で有名なところでは、表参道や神宮外苑のイチョウ並木など、四季を感じさせるとても美しい並木道となっています。

しかし、美しいとは思えない並木道も至る所に存在し、枝は切り落とされ、木は歪み、酷い物は可哀想に電柱のようでもあります。

木をすぐに剪定しようとする人がいますが、樹木とは頻繁に剪定されていないと醜いものなのでしょうか?
落葉が汚いという人がいますが汚いものなのでしょうか?
陽当たりが悪くなるという人もいいますが、樹木一本あたりの夏の冷却効果はかなりのものがあるし、落葉樹であれば冬には葉を落とし陽射しが当たるようになります。

伸びやかな自然の緑を見るときっと心が和むと思います。
空気を綺麗にしてくれたり、夏生涼しくしてくれたり、季節感を感じさせてくれると思います。

そんな街路樹ですが、多くのものは植えられているところが窮屈過ぎるようです。
行政は木の生長を考えて植えているのでしょうか?
我々は近所の街路樹を大切にしているでしょうか?

街路樹をただ植えるだけではなく、町並みをよくしていくためにはどうしていくべきかをちゃんと考えるべきだと思います。



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森と都心周辺の容積

戦後自然発生的に作られてきた街並が延々と続く首都圏。
都心から少し離れると低層の建物ばかりがびっしりと建ち並んでいますが、その街が平たく増殖し、貴重な森まで潰してしまっています。

これはあまりいい状況ではないと思うのですが、そのような街になってしまったのは
戦後あまり都市計画を進めてこなかったところに人口が増え、多くの人が職を求めて都会に向かってしまったことや、一般的な住宅地の容積率と高さ制限を低く押さえている法律にも問題があると思います。
また、世帯数が大幅に増えた上に、いつかは家を持ちたいという一戸建思想があるのも大きな原因の1つではないでしょうか。

高層マンションを沢山建てることはないとは思いますが、低層の住居地域の容積率と高度規制を上げ、緑地帯や空地を多く確保した上で住環境に悪影響をおよぼさない程度の中層の集合住宅を都心周辺に多く建てるべきではないでしょうか。
そして、都会に住むなら一戸建てを持つことばかりを目標とした生き方をせず、そのようなところに住む人が多くなると、不動産屋が郊外の森を潰してマンションを建てるメリットも薄れると思います。
また、余裕の出来た分の土地を道路にまわして渋滞ばかり起きる道路をもっと整備出来たり、歩道や緑地面積がとれたり、動物が住む場所を多少返せたり、一戸建てにもそれなりの庭がとれたりと、人が暮らす街としていい状態になってくると思います。

実際に人が住んでいる街や法律を変えていくのは大変なことだし、都心の商業ビルのようにお金儲けに直接関わることでもないので、すぐには実現出来ないでしょうが、少しずつでも変えていければ、いい方向に向かっていくと思います。

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再開発

六本木や汐留、品川など各所で大規模な再開発が行われるようになってきました。
大きなビルがたくさん建って、新しいお店が続々とオープンし、人々で賑わっていますが、人為的に新たに作られた街は今後も魅力のある街であり続けられるでしょうか?

オフィスやマンションは一般的な箱でいいとしても、その足元の街並が外国の真似をしているだけたったり、派手な色の光や音で飾り立てたり、お店の方も既に成功しているようなお店の支店ばかり集めたりと客よせパンダ的なものが多く、それが夢の象徴なのかもしれませんが、どうもどこも似たり寄ったりで魅力に欠け、野暮な感じがします。

そういった再開発の建物が期間限定の施設ならいいのですが、ある街並を潰した上にわざわざ作り、今後何十年と残っていくものになるので、新しい時だけ目をひき、その後魅力がだんだんと失せ、10年後には人々が余所に流れて閑古鳥が鳴くという寂しい街になってはいけないと思います。

新しい物好きの人々がいなくなった後でも魅力ある街でい続けられるために、人が集まりそうなお店を選んで来てあてがったり、高いテナント料を払えるお店ばかり入れ替えていく方針ではなく、夢と希望があれば出店できるチャンスがあるような、街から自然と新しいお店や文化が芽生える、本来の魅力ある街のサイクルも考えて作るべきではないかと思います。

楽しい街は楽しみながら作る側面がないと出来ないと思うので、再開発をする人間は役所の担当者がしかたなく担当するとか、企業で経済的な利益のことや人生の安定ばかり考えている人だけがやるのではなく、しっかりとしたビジョンを持った人を積極的に参加させることが重要だと思います。

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街の文化と文明

日本を見ると、多くの場所で同じような街並が見られるようになり、それがみな東京など繁華街の縮小コピーのような感じで、日本全体が金太郎飴化してきているような気がします。

しかし、京都などの文化のしっかりしているところは安易にそうはなっていないようで、それらの街には魅力があり、住んでいる人は誇りを持っているようです。

逆に文化がない、または文化を捨ててしまった街からは、愛着とか誇りといったものをあまり感じず、ただ文明や他者の文化に憧れているのではないかと感じてしまいます。

文明批評となってしまいますが、本当に魅力のある街になるためには、文明よりその街ならではの文化が重要なのではないでしょうか。

そのためには、ただ美術館を作ったり劇場を作ったり、流行りのお店を集めてくるのではなく、希望をもった個人の活躍出来る場があり、その創造力で街が発展することが重要だと思います。

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